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 シャント交換
  2008年6月4日(水)

  朝、陸玖のパジャマやメモった品を抱えてパパがやってきた。

  パパが病院に到着したところで、今後の治療について先生からお話が
  あった。


  現在、前回手術したシャントが腫瘍により詰まっているために水が流れ
  なくて水頭症の症状が悪化していると思われます。
  水頭症の症状を改善するためには、詰まっているバルブの部分を交換して
  水の流れを良くしてあげなければなりません。

  しかし、シャント交換して水の流れが良くなることで、今まで圧迫されて
  いた腫瘍が一気に大きくなる可能性があります。
  その場合は腫瘍がさまざまな神経を圧迫して意識障害なども考えられます。
  また、水の流れが良くなることで脳の中の圧のバランスが崩れて脳が
  上部に吊りあがってしまうことも考えられます。その場合はとても危険な
  状態なるとも考えられます。


  先生の話を聞いて、私は怖くて仕方なかった。
  でも、今のままでは脳が圧迫されて頭痛と吐き気が治まらないし、陸玖も
  辛い状態だ。

  だけど、腫瘍が一気に膨らんだらどうなっちゃうのだろう。。。
  脳が吊りあがって危険な状態って。。。
  私は、まだ陸玖が居なくなるなんて考えられないよ・・・。
  誰か助けて。。。

  でも、躊躇はしていられない。
  陸玖の脳圧はハンパじゃないくらい高くなっている。。。
  水の流れが良くなって、少しでも楽になれるのなら。。。と前向きに考えて
  シャントの交換手術の承諾をした。




  手術は少しでも早いほうがいいということで、手術室とスタッフが揃い次第
  今日中に手術をすることになった。

  手術は何時頃になりそうかと先生に尋ねると、それでも早くて夕方でしょう。
  と言われたので、私は陸玖のことをパパにお願いして、一旦帰宅してお泊りに
  備えて洋服や下着、洗面道具などをバックに詰め込み、手術に間に合うように
  急いで病院へ戻った。

  先生に言われたように夕方前に病院へ戻ったら、病室に陸玖が居ない。
  パパに「今ちょっと前に手術が始まったよ」と言われ、せっかく急いで帰って
  来たのに。。。と力が抜けてしまった。

  手術前はどうだった?泣いてなかった?と陸玖の様子を聞くと、最初は
  ママが居ない。。。と言っていたようだけど、パパに抱っこされて泣かずに
  手術室へ入れたらしい。 (´▽`) ホッ

  今回はチューブを全部取り換える訳ではなく、詰まっているバルブ部分の
  交換だけなのでそれほど時間は掛からないという。。。
  しかし、手術が終わるまでは気持ちが落ち着かない。
  一気に腫瘍が大きくなって意識障害になっちゃったらどうしよう。。。
  もし、危険な状態になっちゃったら。。。
  怖くて、怖くて仕方ありません。


  そんなとき、看護師さんが「手術が終わりました。」と呼びに来てくれた。
  看護師さんと一緒に手術室へお迎えに行きます。

  手術室の入り口には、手術した部分のみ髪の毛を剃られ、泣きべその
  陸玖がいた。

  泣いてるってことは意識がしっかりしてるってことだよね!
  陸玖は痛くて泣いているんだろうけど、私にとってはその姿が逆に安心
  できて嬉しかった。

  

  今日は術後ということで、個室ではなくリカバリーの部屋です。
  リカバリーの部屋はベッドは3つ、付き添いはできても一緒の部屋に泊まる
  ことはできないので、待機用のお部屋を用意してもらい私はそちらの
  部屋に泊まることになった。

  夜、安定している様子の陸玖を見てパパは病院を後にした。
  私は、陸玖が寝付くまで傍にいて頭を擦ったりしていたが、陸玖が寝たので
  後は看護師さんにお願いして待機室へ移動して寝る準備をした。

  夜9時頃、看護師さんがドアをノックした。
  私はびっくりしてすぐドアを開けると、陸玖くんがけいれんを起こしてて。。。
  と言うので、すぐに陸玖のところに向かった。

  病棟内に五味先生がまだ居てくれていて私は少し安心した。
  しかし、陸玖の症状は良くない。
  シャントの交換は成功したはずなのに。。。
  CTを撮ってシャントのチューブの詰まりなどをチェックすると、途中のチューブ
  がS時に曲がっていてそこで流れが悪くなっているのかもしれない・・・という。
  その間も陸玖のけいれんは止まらない。

  「早く、流れを良くしてあげないと」と先生は言い。急遽、お腹の方にある
  チューブを引っ張って曲がった部分を延ばしてあげる処置をすることになった。

  理屈じゃわかるけど、そんな簡単にできることなの?という不安もあるが
  今は信じて任せるしかない。

  しかも、手術室は現在使用中だし、夜のためスタッフも手が無いという。
  そこで五味先生は、病棟内の処置室で陸玖のお腹を開腹してチューブを
  引っ張るという。

  「え”−」処置室なんかで大丈夫なの???

  五味先生と夜勤の脳外科の先生、それと病棟内の夜勤の看護師さんで
  陸玖の処置が始まった。

  そんなに時間は掛からなかったと思うけど、待っている時間はとても長く
  感じる。。。

  処置が無事に終了して確認のためCTを撮りに行って、やっと陸玖が部屋に
  戻ってきた。
  とてもグッタリしている。
  まだ、けいれんは完全には止まらない。
  口から泡のような物が出てきて、このままどうかしちゃうんじゃないか!
  そんな気持ちになるほど、変わり果てた姿だ。
  そんな陸玖を見ているとドクドクと心臓の音がおさまらない。

  五味先生に呼ばれ、CTの写真を見ながら説明を受ける。
  「チューブの寄れは直ったので、これでお水がちゃんと流れると思います」
  と言われ、私が「あんなにグッタリしていて、意識もしっかりしてませんが
  大丈夫なんでしょうか?」と尋ねると、先生は難しい顔をして「CTの写真を
  見ると、以前の写真と比べると明らかに腫瘍が大きくなっています。
  これは先に説明した通り、お水を抜くことで腫瘍が膨らんだと思われます。
  また、脳も少し上部に上がってきています。診たところ呼吸系の神経は
  大丈夫だけれど、それ以外は明日、陸玖くんが起きてみないと何とも
  言えない状況です。」と言われた。
  私は、先生の説明を聞きながら愕然とした。

  時間は、夜11時を過ぎた。
  呼ばれてから2時間以上が経つけど、バタバタしすぎてあっと言う間の
  出来事に感じる――。
  その後、なかなか陸玖から離れることができずに暫く陸玖の傍にいた。
  そして少し落ち着いて、明日もあるし眠れる気分じゃないけど寝ておかないと
  と思い、「何かあったらすぐ呼んでください」と看護師さんにお願いして待機室
  へ戻った。

  部屋に戻って、パパに今のことを報告。
  パパも動揺している。
  「これから行った方がいいか?」というパパに、「何かあったらまた連絡する
  から」と言って電話を切った。


  あとで看護師さんに聞いた話ですが、あの日、病棟内の処置室で陸玖の
  お腹を開腹してチューブを引っ張る処置は、立ち会ったベテランの看護師さんも
  びっくりの処置で「ここで、そんなことするのか???」って思ったそうです。
  初めての体験でした。。。と言ってました。







 

プロフィール
2008年7月に愛する5歳の息子を脳腫瘍という病気で亡くしたママです。少しでも他の方のお役に立てたら、そして息子の頑張った姿を知って欲しくて。。。
陸玖の病気が発覚する以前に子育てに関するサイト「Happiness☆誕生〜子育て」を運営していました。陸玖が産まれて5歳までのことが綴られています。良かったら覗いてみてくださいね。
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セカンドオピニオン・ネットワーク公式サイト
NPO法人 脳腫瘍ネットワーク
 
朝日新聞に掲載されました

2011/1/25〜29の5日間
『患者を生きる』とい欄に、「この子らしく」という陸玖の闘病記録の記事を掲載していただきました。
閲覧はこちらから
 
LINK集
 
広げようリボン運動
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小児がんに関する啓発活動や、治療研究などへの経済的支援を求める運動をしています。
   
オレンジリボン
オレンジリボン運動で子ども虐待防止の輪を広げましょう。
子ども虐待防止「オレンジリボン運動」
 
細菌性髄膜炎から子ども達を守りたい
ヒブワクチンってご存知ですか?ワクチンで守れる『いのち』はあります!いのちの格差を無くすためにも現在、ヒブワクチンの定期接種化を求める署名活動をしています。
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